Let’s Read! Learning Japanese through Science & Technology その後

Let's Read! Learning Japanese through Science & Technology

海外大学で授業に導入

日本語を科学と技術の話題に即して学んでいく東京大学のMOOCLet's Read! Learning Japanese through Science & Technology」が、スウェーデン王立工科大学(KTH)、ミュンヘン工科大学(TUM)、ミュンヘン大学など、海外の大学で教材として導入されました。 

ミュンヘン工科大学(TUM)では、2024年夏学期の日本語B2会話コースで、同TUM言語センター日本語部門が提供する最上級クラスで試験的に導入されました。本講座の対象レベルである初中級よりやや上の日本語レベルである日本留学経験者や母国での日本語学習経験のあるアジア圏学生などが参加し、「日本語での文法説明ビデオも難なく理解でき、教授のインタビュー映像がチャレンジ素材として役立った」とのこと。

同大学ではこの講座をZoomでの授業とMOOCの組合せにより導入。1課から順番にということではなく、興味のあるテーマ、文法事項を扱っている課を選び、専門的なテーマについても討論や発表ができるようになることで、各課の本文を参考にしながら、自分の専門に関して文章を書くことを試験課題の1つとしたということです。

この講座は、日本語教育の専門教員が作成したテキストや動画に加え、東京大学工学部に所属する教員にインタビューした動画を含んでおり、これらの教材を内容重視アプローチ(content-based learning)を利用し、効率的に学ぶことができるようになっています。このアプローチにより学習者のモチベーションを上げ、アカデミックな語彙を含むより高いレベルの語学力を身に付けることがめざされています。*1 

学習者は、東京大学工学部の研究内容に基づく科学技術に関する文章を読み、工学系のテーマに特化した語彙や重要表現をカラオケ式の音声・文字つきアニメーションを楽しみながら学び、そのテーマの研究者へのインタビューで実践的な聞き取りに挑戦し、テストで各モジュールの文法や語彙と専門的な内容の把握度合いを測ることができます。 

世界の学習者へ届くために

東京大学工学系研究科日本語教室では従前より米国や欧州の大学とサマープログラムなどで交流を深めていましたが、講師の古市由美子先生は、MOOC講座開講後に訪れた海外の大学でも積極的にこの講座について情報提供に努めてきました。

海外協定校の日本語教室と連携を強化し、本学工学系研究科、東京大学の国際化教育を支援していく活動の中で、英国、スウェーデン、イタリア、フランス、スイスの協定校を訪問、カリフォルニア工科大学やインド工科大学等のインドの工学系大学では、東大学生と各大学の学生の多文化理解と国際交流を深める活動を実施し、一方アメリカのワシントン大学、イタリアのトリノ大学等からの訪問も受けています。そうした交流の中で各大学での聞き取りにより、日本語学習のきっかけも日本のポップカルチャーへの興味から伝統文化、歴史、文学への関心まで広がりがあり、学習者のニーズの多様化が見られることなどが把握され、「今後の連携強化とカリキュラムの改善に向けた具体的な方針を見出すことができた」とされています。*2 

受講者からの反響

  • 工学系研究科日本語教室の年次報告書*では受講学生からのフィードバックが紹介されています。(趣意)

科学と技術の共通テーマを中心に語彙が再利用されているところがとても好きです。トピックは興味深く、インタビューも好きです。さらにN2レベルにもこの講座が継続して提供されることを望みます。

先生はとても優しく、また様々なトピックの専門の先生方のおかげで、科学に興味が持てました。いつか東京大学で勉強したいです!

  • このMOOC講座の学習者からはSNSでも、履修した喜びを報告する投稿がありました。(趣意)

この講座の内容は主に科学技術の革新についてで、とても興味深く、視野を広げてくれるものでした。私の日本語レベルはN4なので、N3レベルのこの講座は私にとって厳しい挑戦でしたが、素晴らしい経験でした。

この講座の日本語レベルは私には簡単でしたが、東京大学で科学の知識を学ぶのはとても良い経験でした。今後、もっと多くの講座が開講されることを期待しています。

コロナ禍がきっかけでオンライン授業とオンライン教材の普及が進んだ一方で、昨今世界各地の紛争や環境変化により教育資源が損なわれ教材の入手が難しい状況があります。教材のデジタル化・オンライン化のニーズはさらに高まっています。

1 2「工学系研究科日本語教室 年次報告書」2022年および2023年を参照させていただきました。

東京大学大学院工学系研究科 日本語教室 Japanese Language Class School of Engineering, The University of Tokyo

https://www.jlcse.t.u-tokyo.ac.jp/ja/ 

【講座情報】Let's Read! Learning Japanese through Science & Technology
Part 1: https://www.coursera.org/learn/japanese-language-1
Part 2: https://www.coursera.org/learn/japanese-language-2

  • 2024年10月末現在の受講状況はPart 1 登録者数:21,747人、Part 2 登録者数:2,305人です。

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