MOOCの制作を終えて ”The Power of Words" 阿部公彦先生インタビュー

今回、MOOC講座『The Power of Words』の講師をつとめてくださったのは、東京大学大学院人文社会系研究科の教授・阿部公彦先生です。
阿部先生は研究・教育活動のほか、各種メディアへの出演や執筆活動など幅広く活躍されています。
本講座の制作過程でのエピソードや、完成した今だからこそ語れる思いについて、お話を伺いました。

初めに「MOOCの講座を作りませんか」とお話を頂いたときは、MOOCに関しては聞いたことがあるという程度の認識しかなく、プラットフォームが複数あるなど知らないことが多いなと感じたことを覚えています。資料制作などの準備段階から非常に綿密に練られており、通常の授業の制作とはまた違ったものがありました。

当初の予定では1回30分の授業を4つ分程度作ればいいのかなと考えていました。しかし、実際に構成を進めていくと、「あれもいいんじゃないか、これも入いれたら面白いかも」と、どんどんアイディアが出てきて結果的には思っていた数倍の量の講座となりました。

私自身は原稿をその場で読むだけなので簡単ですが、例えば学生の授業風景を撮影するなどのアレンジは撮影スタッフ側はとても大変だったと思います。

逗子まで撮りに行こうという話もでていたのですが、諸事情が重なった結果叶うことはなく残念でした。ただ、ロケ撮影全般は本当に楽しかったです。例えば、高橋睦郎先生のインタビュー撮影や、佐藤文香さん主催の俳句の句会、大場みなみさんの朗読やワークショップがありました。

特に法文2号館での真冬の撮影は、外より寒くて息が白くなったりしましたね。このような撮影は、舞台的みたいな雰囲気も伴って楽しい部分もありますよね。撮影の現場の準備は、2時間くらいかかることもあったりして撮影班は大変だったと思いますが、スタッフみなさんが色々なアイディアや労働力を提供してくださったおかげでスムーズに終えられました。完成した映像は本当にクオリティが高く、朗読のシーンや大場さんとの対談シーンなども、カメラワークが非常に綺麗でした。

最終的に講座が完成したときは、本や論文を出版するときもそうなのですが、まず最初に「もっとうまく言えたのではないか」と心配になりました。完成したこと自体を喜ぶよりも、不安の方が強かったです。

講座のターゲットは高校生や大学生としていたのですが、そういった学生層にしっかり届けばいいなと思っています。しかし、実際に大学院入試の説明会などでも紹介しできたのは良かったです。入試説明会の際に、このHP(edXの講座ページ)がちょうどできたところだったので、ウェブサイトで紹介して「登録すると無料で見られますよ」と宣伝してみたのです。MOOCの効果は不明ですが、少なくとも受験者は増えました。

お正月に私がコロナになってしまい、急遽授業を休講にしました。その際には、この「The Power of Words」を学生に見てもらったのですが、普段行っている授業そのものみたいな構成だったので、これを素材にレポートも書いてもらいやすかったです。結構私も(動画制作時に)頑張ったという自覚があるので、あんまりサボった感じもなく助かりました。(笑)

講座が完成してから振り返ってみると、当初私が期待していた以上のものをMOOCユニットが制作してくださいました。特に競技カルタのパートは、私も自分で見て楽しかったです。あれはすごいなと思いました。後はアニメのところもそうですね。競技かるたのところは学生にもウケるかなと思い、なるべく授業で使うようにしています。

この日のインタビューでは、阿部先生が現在執筆連載中の『父たちのこと』などMOOC以外の話題についてもお伺いできましたので、別の機会に皆さんにもお伝えできればと考えております。貴重なお時間をいただいた阿部先生、また、最後までお読みいただいた皆様、ありがとうございました。

講座はアカウントを作成すると視聴できます。アカウントの作成の仕方はこちらを参照してください。

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